1963年、フランクフルト
戦後ドイツの歴史認識を変えた
「アウシュヴィッツ裁判」
――敗戦から十数年がたち、
経済も持ち直してきた西ドイツで、
市民の多くはアウシュヴィッツの存在すら
知らなかったという。
「過去を暴くな」「もうたくさんだ」
という声もあがる中、裁判は始まり、
人々はアウシュヴィッツで
何が行われていたかを初めて知ることになる。
600万人を超えるユダヤ人らの虐殺を
支えたのはいったい誰だったのか?
彼らは最初から残虐だったのか?
たまたま収容所に配属された若者、
命を守るはずの医師、
ごく普通の人たちになぜあんなことができたのか?
何が彼らを変えたのか?
自らの手で、自分たちの国の犯罪に
向き合い裁こうとしてきたドイツ。
戦後75年、2020年の今、
日本の若者たちが
アウシュヴィッツ裁判で語られた言葉と向き合う。
かつて何があったのかを思い起こせない人は、
今何が起きているのかを認識できないし、
明日何が起こるかを見通すこともできない。
果たしてわたしたちは、自らの歴史を
まっすぐ見つめることができるだろうか。
今回は全編約3時間に及ぶ作品
『追究 - アウシュヴィッツの歌』より一部をお届けします
構成 いずみ凜 いずみりん
岐阜県出身。89年、NHKのラジオドラマ執筆後、舞台を中心に脚本家としての活動を開始。劇団はぐるま、東京演劇アンサンブルを経て現在フリー。劇団銅鑼、東京芸術座、劇団風の子、演劇集団円、劇団うりんこ、オペラシアターこんにゃく座、人形劇団クラルテ、ひとみ座、ひぽぽたあむなど、日本全国さまざまな劇団の脚本を執筆。子どもからおとなまで共に観て語り合える演劇をめざしている。劇団仲間の『カモメに飛ぶことを教えた猫』は東京都優秀児童演劇選定優秀賞を受賞し、300ステージを超えた。『ナガサキん' グラフィティ』で斎田喬賞優秀賞受賞。これまでの活動に対して第23回O夫人児童青少年演劇賞を受賞。大学で脚本創作、演劇文化論などを教えている。
演出 大谷賢治郎 おおたにけんじろう
1972年東京都出身。サンフランシスコ州立大学芸術学部演劇学科卒。company ma主宰。児童劇から人形劇、古典から現代劇、市民劇から国際的コラボレーションなど様々な形態の舞台芸術を演出する。アシテジ国際児童青少年演劇協会の世界理事として、子どもや若者のための舞台芸術が世界に広がり発展するために日々力を注いでいる。東京国立博物館の演劇的ガイドツアー、国内外での演劇ワークショップなどフィジカルに体感しながら、当事者性にフォーカスするワークショップには定評がある。現在、桐朋学園芸術短期大学特任講師、東京藝術大学非常勤講師、東京都立芸術総合高等学校非常勤講師を務める。
制作協力 田辺素子 たなべ もとこ
劇団銅鑼(東京都)の制作。愛知県出身。劇団青年座俳優養成所・劇団東演俳優教室卒業。1988年劇団銅鑼に俳優として入団後、制作部に移籍。1999年文化庁在外研修員としてニューヨークでアートマネージメントを学び、劇団の海外公演の全てを担当する。“人々のくらしに演劇が溶け込み、心豊かな人生の糧となること"ーこの劇団の理念を実現するため、演劇と出会わない・出会えない“バリア”を取り除こうと日々奮闘中。働くこと、ジェンダー、老いと死、ダイバーシティなど、社会問題を身近な人間ドラマとして考える舞台を次々と生み出している。公益社団法人日本劇団協議会理事・教育事業部を担当し、“すべての学校に演劇を!”という取り組みを続けている。