ヨーロッパを訪ねると、街のいたるところで、
ホロコーストを記憶する記念碑に出会います。
市民が憩う公園や道端で、観光名所のとなりで。
現代アートと見間違うようなものまで。
負の歴史に向き合うことは、悲しく苦しいけれど、
「こんな記憶のカタチもあるんだ!」という発見と希望があります。
本書は、様々な“記憶のカタチ”をたずねて、ベルリン~アムステルダム~
アウシュヴィッツ~日本をめぐる旅ガイドです。
本書プロローグより
グローバル化の時代、国や民族の枠を超えて、
政治も経済も、一人ひとりの暮らしもますます深くかかわりあっていきます。
この共生の時代を、どのように歩んでいけばいいのか。
私たちはどんな社会に生きたいのか。
今なお続く差別や暴力、紛争に、どう向き合っていけばよいのか。
それを考える時、ホロコーストの歴史は大切なヒントを与えてくれます。
ホロコーストを学ぶことは、人間を知ること。そして、世界を知ること。
「ホロコースト」ってなに? はじめての子どもたちとも一緒に、
この本の扉を開くことで、現在から過去へ旅をしながら歴史を学べます。本書には、やさしく分かるホロコースト史もついています。
ベルリンやアムステルダムに旅行の予定がある方は、旅のお供にぜひ。
現地で使える地図や現地情報も掲載しています。
ドイツもはじめから負の歴史を直視してきたわけではない。苦しい道のりを経てきた姿からこそ、学べることが大きいのではないかと思います。『忘却に抵抗するドイツ』(岡裕人著)も一緒に読んでみませんか。
目 次
Chapter1 アートで記憶する街ベルリンをめぐる 岡裕人
記憶の現場 / 空っぽの図書館 / 生への列車 死への列車 / グルーネヴァルト駅「17番線」
オットー・ヴァイト盲人作業所記念館 / 「安楽死」殺害犠牲者のための追悼と情報の地
虐殺されたシンティとロマのための記念碑 / 誰もいなくなった部屋 / 決して忘れてはならない
恐怖の地 / 虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑 / ベルリン・ユダヤ博物館
Column ナチに抗った人びと ドイツ抵抗博物館 / 無言の英雄記念館
ベルリン・ブーフの強制不妊手術と「安楽死」殺害の犠牲者記念碑
シュテークリッツの鏡の壁
ヨーロッパに広がる「ホロコーストの記憶」プロジェクト
つまずきの石
Essay 忘却に抵抗するドイツ 記憶をカタチにするベルリン 岡裕人
History of the Holocaust なぜホロコーストは起きたのか? 石岡史子
Chapter2 アンネ・フランクの足跡をたずねる 石岡史子
メリウェデ広場 / 隠れ家 / オランダ劇場 / アウシュヴィッツ収容所
ベルゲン・ベルゼン収容所
Column アンネ生誕の地 フランクフルトを歩いてみれば
アムステルダムの街中で見つけた「ホロコーストの記憶」
Chapter3 海を越えて日本にたどりついた記憶にであう 石岡史子
ホロコースト記念館 / オットー・フランク愛用のタイプライター
アンネのバラの教会 / 平和のシンボル「アンネのバラ」
杉原千畝記念館 / 難民を救った「命のビザ」
人道の港 敦賀ムゼウム / 9000kmを旅した腕時計
NPO法人ホロコースト教育資料センター / 命を運ぶ「ハンナのかばん」
Column 助けられた命のメッセージ 日本まで逃げてきた難民たち
生きのびた少年ジョージ
Chapter4 私たちは今、「ホロコーストの記憶」から何を学ぶのか
著者対談 岡裕人・石岡史子
特別寄稿 : 「グローバル化する世界で未来の責任を果たすためにアウシュヴィッツがある」
中谷剛
著者プロフィール
石岡 史子 Fumiko Ishioka
NPO法人ホロコースト教育資料センター(Kokoro)代表。世界40カ国で翻訳されている『ハンナのかばん』(ポプラ社)の登場人物・訳者。命を尊ぶ、寛容な心を育むことを目的とした教育プログラム「ハンナのかばん」「アンネ・フランク」「杉原千畝」等を制作し、年間100の学校や自治体で授業を行う。カナダ・ヨーク大学より名誉博士号、米国・ワシントン大学より特別功労賞を授与。共訳書に『なぜ、おきたのか? - ホロコーストのはなし』(岩崎書店)等。愛知教育大学非常勤講師。
岡 裕人 Hiroto Oka
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。89年渡独し、コンスタンツ大学大学院歴史学科で博士号取得。ベルリンの壁崩壊を見聞し、以後変革するドイツで歴史研究と教育に携わってきた。現在フランクフルト日本人国際学校事務局長、在フランクフルト。著書に『忘却に抵抗するドイツ - 歴史教育から「記憶の文化」へ』(大月書店)、『シュテューリンゲン方伯領の農民戦争とその前史』(博士論文)、共著に『世界の歴史教育』(ゲオルク・エッカート研究所編)(以上2冊独語)等。
企画・編集
北川 直実 Naomi Kitagawa
フリー編集者。戦争の記憶と継承、歴史対話などをテーマに企画・編集を行う。共著書に『若者から若者への手紙 1945←2015』(ころから)。企画・編集した作品に、『忘却に抵抗するドイツ』(岡裕人著、大月書店)、『いま、話したいこと―東アジアの若者たちの歴史対話と交流』(室田元美著、子どもの未来社)、『難民と地雷』全3巻(小林正典著、草土文化)など。地元千葉で「よりみちカフェ」を主催。
メディア掲載
図書館教育ニュース 2016年9月18日
毎日新聞 2016年8月26日
中日新聞 2016年9月26日
カトリック新聞 2016年7月16日
キリスト新聞 2016年7月11日
教育新聞 2016年7月14日
毎日新聞 2016年7月12日
皆さまの学校や地域にお伺いします
写真が
たくさん!
ワークショップを開催しませんか
ベルリン & アムステルダム 記憶の街歩き
Memory walk in Berlin & Amsterdam
スライド写真で、ヨーロッパの街に点在するさまざまなカタチのホロコーストの記念碑をたどります。一つひとつ、どんなできごとを記憶しているのだろう・・・
記念碑をてがかりに、現在から過去へ、歴史をさかのぼってみます。
最後に浮かび上がってくるキーワードをもとにディスカッションをしてみます。
・アイスブレイキング
・スライド写真で現在の街を歩いてみよう
・ベルリン編~アートで記憶する6つの歴史をたどる
・アムステルダム編~アンネ・フランクの足跡をたずねる
ベルリンまたは
アムステルダムの
いずれかを
お選びください
・「選挙」「法律」「医学」「科学技術」「文化芸術」などのキーワードを通して
ホロコーストの歴史を多面的に分かりやすく学びます
・現在のヨーロッパの街につくられている記念碑を手がかりにして、
記憶の大切さと未来について考える。
高校生や大学生、大人まで。学校の総合学習や地域の勉強会などで。
ノートパソコン、プロジェクター、ワークシート