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まんが版『ハンナのかばん』
原作 カレン・レビン、監修 石岡史子
まんが 近藤たかし
ポプラ社刊、2007年 (税込1,260円)
マンガ作家の近藤たかしさんが、ハンナを生き生きと、そして歴史背景を とても丁寧に描いてくださり、すばらしい作品に仕上げてくださいました。
偶然にも 近藤さんは大学時代に「ホロコースト」をテーマに研究されたこともあり、マンガ化をお願いするのに 最高の作家さんとの出会いとなりました。
近藤たかしさん
作家の近藤先生に
インタビュー!
「実は、スケジュールが忙しかったので、断ろうと 思っていました。でも内容について聞いてみて、 ぜひやらせてください!と喜んで受けることにしました。
マンガ家を目指したころから、私はずっといつか ホロコーストを描いてみたいと思っていたんです。でも、仕事として実現するのはなかなか難しいと 思っていました。もちろん、マンガ家として成功すれば、自分がやりたい仕事ができますが、自分にはしばらくはチャンスがないと思っていました。こんなに早く実現できるとは夢にも思っていなかったので、とても驚きました。」
最初に、仕事の依頼が来たときは、
どう思いましたか?
最初に、仕事の依頼が来たときは、
どう思いましたか?
「大学で哲学を専攻していたので、ユダヤ系のドイツ人テオドール・アドルノなどフランクフルト学派の哲学者について学んでいました。そこから、ホロ コースト史にも関心をもつようになり、結局卒論で アウシュビッツをとりあげました。
ホロコーストは、他の虐殺と比べても、非常に組織的に、計画的に進められました。なぜ、それが可能だったのか。当時のドイツの状況を考えると、(ヒトラーに) 従わざるを得なかった、また人々の無関心が原因ではないか、と自分なりの結論を出しました。」
ホロコーストに興味をもたれたのは、
いつ、どんなきっかけからですか?
最初に、仕事の依頼が来たときは、
どう思いましたか?
「まず一回目に読んだときは、これをマンガでどういう風に表現できるか、それだけをイメージしながらさらりと全体を読みました。
そして二回目にもう一度読んだときは、思いっきり感情移入をして、涙を流しながら、読みました。いったん描き始めると、自分自身が登場人物になりきっていました。」
まんが化にあたって、原作『ハンナのかばん』はどんなふうに読みましたか?
©2007 Poplar Publishing Co.,Ltd. All rights reserved/近藤たかし
「ハンナとジョージを描きながら、自分はユダヤ人の側に立っています。だから、描きながら、ナチスが 憎いと思いました。でも実際には、苦しめられている ユダヤ人たちはぼろ服を身にまとい、貧しい姿で描かなくてはいけない。一方、ナチス兵は、格好良い制服を着て、立派に描かなくてはいけない。一見、ナチス兵のほうが人間らしく見えてしまいます。描きながら、その矛盾に腹が立ってきました。」
ナチスや、迫害の悲しい場面はどんな気持ちで描いたのですか?
ついてるよ!
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ハンナのかばんガイド
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ホロコーストの解説
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ハンナのかばんQ & A
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年表
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ジョージさんからのメッセージ
最初に、仕事の依頼が来たときは、
どう思いましたか?
「ハンナの兄のジョージですね。自分が男だから でしょうか。でも、妹を守ろうと必死だったジョージに 感情移入しすぎてか、ついハンナを甘えっこの泣き虫のように描いてしまったこともありました。編集者に 指摘されて、読者の子どもたちがハンナにも共感できるように、そういうシーンは何度か修正しました。」
どの登場人物に、
感情移入しましたか?
どの登場人物に、
感情移入しましたか?
「私はハンナが最後に殺されてしまう少女として描くのではなく、ごく普通の一人の女の子として描きたいと思いました。その点だけはいつも気をつけました。
原作を読んだとき、ハンナを描くには、『小川だ!』とイメージがすぐに浮かびました。それ以外考えられませんでした。
水と太陽はエネルギーであふれています。ハンナを生き生きとした活発な少女として描くために、そんな背景がすぐに思い浮かびました。」
ハンナを描くときに、ほかに
気をつけたことはありますか?
ハンナを描くときに、ほかに
気をつけたことはありますか?
「そうですね・・・そういう悲しみもハンナとジョージは乗り越えていこうとしますね。ジョージの智恵とハンナのバイタリティで困難を何度も乗り越えて、 元気を取り戻す。そこに惹かれる読者も多いのでは ないでしょうか。 二人の身にふりかかる悲しい出来事と、ジョージとハンナの絆の強さを、対比させて描くようにしました。
犠牲者も加害者も大人たちは暗めに描いて、 ジョージとハンナは反対に非常に明るく描きました。このコントラストが、特に私がドラマを感じる部分でした。 私はこのマンガをとおして、歴史的事実を伝えるというよりも、人間ドラマを しっかりと表現したいと思いました。」
自分にとって大切な人を失うという
シーンを描く時は、どんなふうに
取り組まれましたか?
©2007 Poplar Publishing Co.,Ltd. All rights reserved/近藤たかし
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