映画「ユダヤ人を救った動物園」を観て

上映の始まりから、楽しく嬉しい光景が流れていく。ポーランド・ワルシャワの動物園を、夫ヤンと経営するアントニーナは、朝いちばんに自転車で動物園中を走り回り、動物たちと挨拶を交わす。檻の中の動物たちも、生き生きと彼女に挨拶を返す。そこには、人間と動物のパラダイスを彷彿とさせる、優しさと美しさがあふれる。平和があり、幸せがあり、信頼が満ちている。見ている私も、自然に動物たちと合図を交わしている。その時には、観客のみんなが、きっと微笑んでいたに違いない。 ところが、すぐに場面は暗転する。ナチスの侵攻によって、動物園にも銃声が鳴り響き、動物たちが次々に倒されていくのだ。これほどむごい光景はない。 それから、ヤンとアントニーナ夫妻のナチスとの戦いが始まる。動物たちを助けることは困難になり、彼らの動物園は、養豚場と化す。その上、夫妻はゲットーで苦しむユダヤ人たちを救って、地下室にかくまう。豚の飼料としてトラックで運ぶ、ゲットーの残飯やゴミの下に、ユダヤ人を隠して動物園の自宅地下室に運んで(!)くるのだ。それは、人間とゴミを一緒にせざるを得ない、人間性を無視してでも人間たちを助けねばならないという、彼らの信念である。 戦争、特にナチスを扱った映画は、人間の持つ限りなく残虐性と、信じられないほど深い人間の善性を描く。この映画も、その一例である。私たちは、これらの映画を観て、自らの善悪を考える。この物語が、実話に基づくということも、重要な意味がある。(見終わった時、この映画の主人公はアントニーナになっているが、私には夫のヤンではないかと思えるほど、ヤンの人間性は観客に訴えてくる。) 20世紀という

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