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  • みき

WW1終結100周年・独仏シンポジウム

こんにちは! ただいま日本に一時帰国中のみきです。

今から100年前の今日、第一次世界大戦が集結しました。

今日フランスは祝日で、記念式典が開かれ各国首脳が訪れています。(ちなみにドイツは祝日ではないです。)

これに関連して先日、上智大学にて、第一次世界大戦終結100年を記念した独仏シンポジウムが行われ、歴史研究者、ドイツとフランスの高校生、両国大使が集まり意見を交わしました。その様子をお伝えしたいと思います。

長年の対立と二度の大きな戦争を経験したドイツとフランスが、どのようにして1945年以降、友好関係を築くことができたのか、ということをテーマに、第一次世界大戦の背景と原因、当時の日本とドイツの関係、戦後の独仏友好関係のあゆみなど、まず、ドイツ、日本、フランスの研究者の方々が講演されました。講演の中でも印象に残っているのは、第一次世界大戦前の時代に、ヨーロッパの中で「黄色人種脅威論」というものが存在していた、というお話でした。100年前、日本や中国が国力を着々とつけていた時代に、当時のヨーロッパでは、得体の知れないアジアの民族、宗教への偏見と脅威論が広がっていたのだそうです。現在のイスラム教徒に対するそれに似ているなと感じました。

後半では、東京国際フランス学園と東京横浜ドイツ学園の高校生たちが、「和解と独仏のパートナーシップ」と題して、プレゼンテーションを行いました。ドイツの歴史教科書と独仏共通歴史教科書の内容の比較や、両国の和解の例、フランス学園とドイツ学園の交流行事の紹介などをしてくれました。最後に発表した生徒は、「両国の友好関係を保つためには、もっと歴史を勉強することが必要だ」と、まとめてくれました。特に印象深かったのは、ドイツの生徒はフランス語で、フランスの生徒はドイツ語で、とお互いの言語で発表していたことです。何年勉強しているんだろう…というぐらい、みんなとても上手に話していたのには驚かされました。日本という第三国で育ち、隣国同士として交流をしている彼らは一体どんな将来を歩むのかなぁと個人的にちょっと興味を持ちました。

(発表する高校生たち)

質問タイムでは、会場のある日本人聴衆から、このドイツとフランスの関係が「羨ましい」という感想が述べられ、「なぜ日中・日韓は和解できないのか?」という質問が出ました。フランク・ミシュラン教授(フランス)が「ドイツはフランスに謝罪はしていない。謝ることよりも認めることが大事だ。」と述べられました。スヴェン・サーラ教授(ドイツ)は、「日本は戦後、まずアメリカとの関係を最重要視したが、1980年代には日中・日韓と協力関係を築いたとても良い時代があった。しかし、2000年代の小泉首相の靖国参拝でそれが水の泡になってしまった。和解の問題は、二国間ではなく国際的な文脈で考える必要がある。」と助言されました。

最後は、フランス、ドイツ両国大使から、総括の言葉がありました。

フォン・ヴェアテルン・ドイツ大使の、会場にいた高校生たちに対する熱いメッセージがとても印象的でした。少し長くなりますが、訳の一部をご紹介します。

「…この会場に、第二次世界大戦に参加した人は誰もいないでしょう。だからこそ、この記憶を薄れさせるのではなく、鮮明にし続けることが、私たち親、そして君たち若者の責任なのです。…記憶は決して完全なものではありません。犠牲者の記憶も加害者の記憶も、双方なしでは記憶は決して完全なものにはならないのです。だから、自分の行いが他者にどう影響を与えているかを考えることが大事です。…今、私たちは安心してはいけません。本日の講演で学んだ、世界大戦時の「黄色人種脅威論」、人種主義とナショナリズム、民族的優越感などは、今日再びポピュリズムの中に現れています。つまり、自由と民主主義は放っておいても常にあるものだと思ってはいけません。それを保ち続けるためには、私たち大人、そして特に若者がそのために熱心に取り組み、日々戦い続けなければならないのです。それは若者の責任であり、君たち(ドイツ学園とフランス学園の生徒たち)は学校で、ポピュリストに惑わされず、物事を考え抜き、難しい問題に簡単な答えを出そうとしない、そういう術を身につけることができる、すばらしい環境にいます。分断を生み出すポピュリズムとナショナリズムに対する批判的取り組みの準備が、君たちには備わっています。こうした理由から、私がこの世界の将来に対して不安を抱くこともなくなるのです。」

(インターンのAさんがドイツ語の文字起こしをしてくれました!ありがとう!)

ドイツ大使は、私たちKokoroの活動にも賛同してくださり、大きな援助をしてくださっています。

日本人にとってはあまり馴染みの少ない第一次世界大戦の歴史ですが、歴史はすべて今に繋がっています。これからも、歴史から今を考えていきたいと思います。

みき

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