シンドラーのリスト25周年
杉原千畝と並んで称されるドイツ人の「諸国民の正義の人」、オスカー・シンドラー。
約1,200人のユダヤ人をアウシュヴィッツへの移送から救いました。
スティーブン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』が公開されたのが、
ちょうど25年前の12月でした。
この節目に、アメリカやヨーロッパの劇場でふたたび上映されるそうです。
『シンドラーのリスト』はアカデミー賞を受賞し、日本でも大ヒットしましたが、
本来は語りえないホロコーストという出来事を分かりやすく感動的な「物語」にした、
などの批判も受けて、クロード・ランズマン監督のドキュメンタリー映画『ショア―』とは
対極的に語られることもあります。
一方で、ホロコーストの歴史が広く一般に認知されるきっかけを作ったことも事実です。
25周年の今、あらためてこの映画が果たした役割やいま再び注目する意味が話題になっています。
インタビューで、スピルバーグ監督が制作時を振り返っています。
制作にあたって、スピルバーグはシンドラーに助けられた人たちと多くの時間を過ごしました。
撮影したシーンの試写のあと、一人の生還者にこう言われたそうです。
「私の体験を聞いてください。この映画は私の体験のほんの一部分にすぎない。
私の体験のすべてをあなたに伝えたい。私を見てほしい。
そして、私や私のような人たちに何が起きたのかを知ってほしい。」
そして、映画公開の翌年、1994年にスピルバーグは「ショア財団」を設立し、
世界各地にスタッフを派遣し、ホロコーストから生きのびた人たちの証言の記録を始めました。
現在までに、65ヵ国43言語で約55,000人分のホロコーストやジェノサイドの生存者の証言を収集し、教材として公開しています。
スピルバーグはインタビューの中で、「憎しみが日常になり、ニュースの見出しになっている。憎しみが集合体になったとき、その先にはジェノサイドがある。私たちはこれまで以上に今、憎しみと真剣に向き合わなければならない。」と話しています。
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